幸せの証拠

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父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

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こんにちは。まいまいです。

 


ブログを見に来てくださってありがとうございます。

 


本日の読書感想文は『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』です。

 

 

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著者はヤニス・バルファキス氏です。ギリシャ財務大臣を務められていたり、大学で経済学教授をされていたりとまさに経済のプロですね。

 


そんな方の頭の中を覗き込めるのはなんだかワクワクしますね。

 


Twitterでも紹介しましたが、本当に読みやすくて246ページがあっという間でした。

 

 

 


その中でも特に印象に残った経済の話を5つご紹介させて頂きたいと思います。

 


ただし、本書はあくまで著者の意見であり、「一理ある」ぐらいのスタンスで読むことをおすすめします。

 

 

 

 

 

 

なぜ『格差』が生まれるのか

 


『格差』とは一体何でしょうか。強さでしょうか。賢さでしょうか。

 


本書では『余剰』が格差を生むと解説されています。

 


もしも世界にあなたとあなたの家族だけしかいない場合、格差は生まれるでしょうか。

 


好きな場所で好きなものを食べて好きなことをできる世界だったとしたら。

 


助け合うことはあっても格差が生まれるイメージはあまり湧かないのではないでしょうか。

 


全ての人に十分な『余剰』があれば格差は生まれません。

 


大昔のある年に飢饉が起こりました。多くの人が住む小さな町です。

 


米や小麦などの蓄えはなく、その年は多くの人が死に至りました。

 


次の年、人々は次の飢饉を恐れて米や小麦を蓄え始めます。このときにより多くの『余剰』を持っている人は『余剰』を持っていない人に分け与えることができます。

 


この小さな助け合いが『格差』をもたらします。

 


「米や小麦を分けてくれた命の恩人お返しをしないといけない」と“借り”ができてしまうのです。

 


また本書ではこの“借り”を記録するために文字や通貨(当時は貝殻に数字を刻んだもの)が発達したという説も唱えられています。

 


余剰が格差を生む。お金で例えると分かりやすいですね。

 


お金持ちがどうしてもお金に困っている人にお金を貸し出す。その代わりに利息をもらうことでより格差が拡がっていくのは容易に想像できます。

 


通貨のない時代であれば農作物や衣服、狩りをするための武器などをたくさん作る能力が余剰を生みだし、格差に繋がったのではないかと思います。

 


この格差が権力に繋がっていきます。

 

 

 

 

競争に勝つには借金しかない

 


大昔、“貴族”という権力で生きている人は農民や町民からその権力で食べ物や衣服や武器を搾取してきました。

 


“貴族でない人”は企業することで大金持ちになることができますが、市場には常に競争があります。

 


より安く、より良いものを作ることができるところにシェア(お金)は集まります。

 


では、シェアを獲得するためにはどうするか。もちろん発見や発明がシェアの獲得につながることもあります。

 


そうでない場合は借金をして安い働き手をたくさん買い集め、コストが安く生産できるロボットを購入して、より安くて良い商品を売り出すことが必要になります。

 


産業革命ではこうして借金(リスク)を背負ったものは成功すれば大きな富を得る一方で、安い賃金で雇われた人たちの生活はさらに貧しくなり、貧富の差が拡大しました。

 


借金と経済の仕組みについてはこの動画がすごく分かりやすく解説されているので、是非一度ご覧になってください。

 

 


30分で判る 経済の仕組み Ray Dalio

 

 

 

 

狩人のジレンマ

 


日本でも最近、最低賃金の引上げが目立つようになってきました。

 


ベア(春闘)も春の風物詩となりました。

 


もしも今よりも2割安い賃金で人を雇えることになったらどうなるでしょうか。

 


経営者にとっては安いコストで同じ成果が得られるのであれば願ったり叶ったりです。

 


しかし、2割安い賃金で雇われた人たちの消費はどうなるでしょうか。

 


2割減の消費しか起こりませんね。これが経済全体で起これば、企業の収益は2割減です。

 


もともと2割安い賃金で同じ成果を上げられているのだから、プラマイゼロでは?と思いますが、2割安い賃金で雇われた人の消費が今までと同じところまで行き渡るかは分かりません。

 


より安くてより良い商品を求めるようになるでしょう。

 


そうなれば企業も価格競争が激しくなり、さらにコストを抑える必要があります。

 


そうすろと、負のループの完成です。

 


『狩人のジレンマ』はこれを分かりやすくした例です。

 

 

10人の狩人は鹿を狩るために森へやってきた。10人が協力して鹿を狩ることができれば数日分の食料が得られる。

 


しかし、1人でも協力できないと鹿を狩ることはできない。

 


今、狩人たちの目の前にうさぎが現れた。うさぎは鹿ほどの食料にはならないが、今日1日食べれるだけの食料になる。

 


目の前のうさぎを狩るか、みんなを信頼して鹿を狩るか。

 


誰かがうさぎに目を奪われれば、鹿は逃げてしまい食料難になってしまう。

 


それでも10人はお互いに信頼して鹿を狩ることができるだろうか。

 


最も良い解決策は互いに信頼し合って鹿を狩ることだと全員が分かっている。

 


それでも人間は疑心暗鬼になるのだから、誰かがベアや最低賃金の保証をしないとみんながうさぎを求めてしまうことが分かります。

 


なんだか経済って悲しい生き物ですね。

 

 

 

 

『機械がすべてを解決する』という夢

 


数十年前、もっと言えば数年前は何十万円、何百万円としていたものが今では手の届く価格になったものはたくさんあります。

 


それは機械が人間の代わりに働いてくれているからに違いありません。

 


そしてその過程で人間は製造工程から締め出されてきました。

 


機械はご飯を買いませんし、衣服を着たり娯楽を楽しんだりもしません。

 


人間がしていたことを機械に置き換えると、それだけ人間に払われていた賃金が減り、物の需要が減ります。

 


お金持ちはどんどん富を蓄え、貧富の差が激しくなります。

 


機械は敵か味方か。本書では映画「マトリックス」や「スタートレック」、「ブレードランナー」などを用いて考察しています。

 


SF映画が好きなわたしにとって、とても興味深い問いでした。

 


現代は単純作業や危険な作業、寒熱地での作業など人間には向かない作業は機械が行うことで人間は恩恵を受けています。

 


しかし今後“AI”に仕事を奪われるという心配もいたる所で起こっています。

 


感動や興奮など人間にしか表現できないものを大切にして行きたいですね。

 

 

 

 

仮想通貨はなぜ危機にぶつかるのか

 


最後に仮想通貨のお話です。

 


世間では仮想通貨がトレンドになりつつあります。

 


その中でもトップの座にいるのがビットコインです。著者はビットコインの仕組みから、通貨が政治と切り離せない理由について解説しています

 


ビットコインは発行上限が決まっています。そのため、デフレになりやすい。

 


物が増えれば増えるほど相対的にビットコインの価値は次第に高まっていきます。

 


ある金持ちがビットコインを独占してしまうようなことがあると流通に問題がありますし、金融危機が起こった時には供給を増やせません。

 


1929年と同じような金融危機になりかねないと著者はビットコインの危険性について語っています。

 


ここからはわたしの意見ですが、価格が乱高下しているうちは決済手段としてのビットコインは使いにくいですよね。

 


価格が安定しても供給に不安がある。

 


そのため、中国のように政府が発行するデジタル通貨が主流になるのではないかと考えています。

 


日本円は世界からみてとても安定した経済を持つ通貨ですから、デジタル通貨が一般的になるにはまだまだ時間がかかりそうです。

 


2030年までは紙幣や硬貨が信用に値するものとしてまだまだ君臨しそうな勢いです。

 

 

次回はちょっと趣向を変えて、SF映画の紹介でもしてみようかと思います‼

 


本日もお読み頂いてわたしの幸せがひとつ増えました。

 

コメントお待ちしております。