ヒヤリハット事例と対策-⑪ 思い込み
こんにちは。まいまいです。
ブログを見に来てくださってありがとうございます。
今回はヒヤリハット事例と対策として“思い込み”を取り上げてみます‼
今回も澤田康文先生の「ヒヤリハット事例に学ぶ服薬指導のリスクマネジメント2」を参考にさせて頂きました。
薬剤師あるあるだと思うのですが、処方せんには“年齢”が記載されています。
特に女性の方だと年齢と見た目が異なることがあるので、本人なのか家族なのか分からないことも。
本人だと思っていたら家族だったり、家族だと思っていたら本人だったり。
まだまだ見極める力やトーク力を鍛えていかないといけません‼
- 事例:インスリンに関する思い込み
- 事例:経口補水液に関する思い込み
- 事例:医療従事者に関する思い込み
- 事例:納豆に関する思い込み
- 事例:コンタクトレンズに関する思い込み
- 事例:緑内障に関する思い込み
- 事例:運転免許証に関する思い込み
事例:インスリンに関する思い込み
対策
インスリンの使用に関しては様々なヒヤリハット事例があります。
その中でも今回は特に継続使用の場合です。他院や他局でインスリンを処方されていて、たまたま自身の勤める薬局に来られたときにインスリンの説明を一からすることは少ないと思います。
だいたいの場合はおおまかな注意点や単位数の確認などにとどまり、針はどうしているのか、保管はどうしているのか、手技は正しいかなど詳細は聞けませんし、患者さんも「分かっているから大丈夫」と言われることが多いでしょう。
そんなときでも、「以前からインスリンを使われているから大丈夫だろう」と思いこまずに、「もしかしたら何か間違っていているかもしれない」と思うことが大切です。検査値が良好であるからといって正しく注射できているとも限りません。
わたしが担当した患者の例では、「注射針をインスリンの処方日数以上にもらうことはできないと思っていた」という方がいました。
いつもインスリンは2本で35日分処方されているのに対して、注射針は28日分しか処方されていないため少しずつインスリンが余ってくるという状況でした。
薬局側が気づいてあげられなかったこともダメだとは思いますが、症状が安定されていることやインスリンの手技や保管に関しても問題なかったことが思い込みにつながりました。
毎回同じ処方が続いているからときも、体調以外に困っていることはないか思い込みを捨てて確認することも大切です。
事例:経口補水液に関する思い込み
対策
夏場のスポーツ後や熱中症対策、下痢や嘔吐などの体調不良のときなどにスポーツ飲料や経口補水液をおすすめすることがあると思います。
しかし、糖尿病の患者さんであれば低血糖のリスクやスポーツ飲料の接種による高血糖も考えられます。
本書では糖尿病の患者さんが運動後にスポーツ飲料を1.5Lがぶ飲みしてしまい、血糖が400㎎/dlとなり救急搬送された事例が紹介されています。
お水と違い、スポーツ飲料であれば糖分が多量に含まれているので飲みすぎには注意が必要です。
また、高齢者など腎機能低下のある患者さんであればカリウムの摂取量にも気を付けたいところです。
どの飲料をどれぐらい飲めば適切かというアドバイスはとても難しいですが、たくさん飲めば大丈夫という思い込みにも注意が必要です。
「この飲料には糖分/カリウムが含まれているので、摂りすぎには注意してください」と一言添えるだけでも摂取量に関して患者さんが気を付けてくれるかもしれません。
事例:医療従事者に関する思い込み
対策
医療従事者が患者として薬局に来られて薬を渡す場面も少なくありません。
特に実際に薬を扱わない配送業の方や研究開発の方などはその服薬方法を全く知らないこともあります。
わたしが経験した事例では、いつも来て下さる卸のMSさんが処方箋を持ってきてくださっています。
その方はまだ50代で薬の知識もありますので、一包化など必要ないかと思いヒートのままでお渡ししていました。
しかし、病気のため入院されたときに院内で薬を一包化してもらったところ「一包化という存在は知っていたが、こんなに服薬が便利になるとは思ってもいなかった。飲み忘れが減った。」と驚かれており、それ以降当局で一包化してお渡ししています。
医療従事者に対して薬のことをあれこれ説明するのは勇気がいりますが、薬に関しては問題ないと思い込むことは危険かもしれません。
事例:納豆に関する思い込み
対策
日本人であれば好き嫌いはあれど誰もが知っている納豆ですが、外国人の方はどうでしょうか。
本書では外国人は納豆を食べていないだろうという思い込んでいたため、納豆を食べてはいけない薬についての説明が抜けてしまったという事例が紹介されています。
人種や性別、国籍によって様々な違いはありますが、思い込みを捨てて聴いてみることも時には必要です。
納豆などの食事だけでなく、サプリメントや生活習慣などにも気を付けたいですね。
事例:コンタクトレンズに関する思い込み
対策
「コンタクトレンズは若い人がするもの」という思い込みがわたしも少なからずありました。
わたし自身、コンタクトレンズを使用していることもあり特にソフトコンタクトレンズに関しては目を見て装着されているか分かることもあります。
しかし、ハードコンタクトレンズに関しては見た目ではほとんどわかりませんので、目に注意が必要な薬が処方された場合は必ず確認しています。
本書では高齢者はコンタクトレンズをしていないとの思い込みから、コンタクトレンズ使用者への注意事項を説明しなかったという事例が紹介されています。
年齢による思い込みも事故につながる可能性があるので、失礼にならないように確認しておきたいですね。
事例:緑内障に関する思い込み
対策
こちらもコンタクトレンズの事例と似ています。
緑内障と聞くと高齢者の疾患と思いがちですが、若い方でもなります。30代40代であれば特に驚きもしませんし、緑内障の方が注意する薬が処方された場合はしっかりと確認できます。
しかし、10代や20代であれば緑内障ではないだろうと思い込むのも分からなくはありません。
実際、10代20代で緑内障だと聞いたことはわたし自身ありませんし、お薬手帳に緑内障に関する薬が記載されていない場合は確認もしていませんでした。
しかし、本書を読んで注意を促すぐらいはしないといけないと思いました。具体的には薬情やお薬手帳の「緑内障の方は注意が必要な薬剤です」という文章に線やマーカーを引いて目に留まるようにしようと思います。
口でわざわざ確認してなくても、「薬の説明が書いてあるので一度目を通しておくようにしてください」という一言で患者さんの不利益を防げるのであれば使うメリットは大きいと思います。
事例:運転免許証に関する思い込み
対策
最近は高齢者の運転免許の返納も普通になってきており、患者さんでも「免許を返納しから病院にかかるのも一苦労」と言っておわれる方が多くなりました。
高齢者だから車に乗っていないだろうという思い込みには注意が必要です。特に田舎の方だと80代90代でも車を運転している方はおられます。
反対に高校生だから運転免許は持っていないだろうという思い込みにも注意が必要です。本書では風邪で受診された患者さん(高校生)に服用後の運転に注意が必要な薬が処方されたがその説明を口頭ではしていなかったという事例が紹介されています。
薬を渡して終えて帰宅される際に車の運転席に乗り込む患者さんを見て、あわてて運転に関する注意をしたとのことです。
私服であればやや気にするかもしれませんが、学生服を着て来局された場合は運転に関する注意事項の説明はなかなかできないですね。
そのため、問診票に「運転をしますか?」という項目を作っておくことも対策のひとつでしょう。
今回はヒヤリハット事例と対策で『思い込み』に関するものを取り上げてみました。
なんでもない思い込みが患者さんにとっては重要なこともあるかもしれません。
思い込みに関しては特に事例を知っておくことで応用できると思いますので是非とも参考にしてください。
本日もお読み頂いてわたしの幸せがひとつ増えました。
コメントお待ちしております。