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ヒヤリハット事例と対策-⑥ 軟膏・吸入剤の使い方

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こんにちは。まいまいです。

 


ブログを見に来てくださってありがとうございます。

 


本日は『ヒヤリハット事例と対策』の第6弾軟膏・吸入薬の使い方についてです‼

 


今回も澤田康文先生の「ヒヤリハット事例に学ぶ服薬指導のリスクマネジメント」を参考にさせて頂きました。

 

 

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最近は一般用医薬品の軟膏のラインナップも増えてきました。特にステロイドが配合されている軟膏は効果も使い勝手も良いために使われることが多いかと思います。

 


軟膏の正しい使用方法も是非参考にして頂ければと思います。

 

 

 

 

軟膏の使用方法

 


事例:軟膏の塗る量が分からない

 

 

対策


軟膏は塗って使うものですが、一体どれぐらいの量をどれぐらいの面積に塗布するのかってそれぞれの感覚の話になってしまうと思います。

 


ここでは塗り方のひとつの基準を数値を用いて示したいと思います。

 


患部が直径約5㎝の円形範囲では軟膏チューブから5㎜程度絞りだして塗るのがよいとされています。チューブから5㎜押し出すことで約0.04gほどになるので、全量が5gのチューブであれば100回程度は塗布できる計算です。

 


また、人差し指の先から第一関節までの指腹側に軟膏を一線に載せた量を『FTU』と言います。

 


このFTUを単位として用いると、成人の身体では

 

  • 顔と顎をあわせて2.5FTU
  • 躯幹の前部、後部それぞれで7FTU
  • 片腕で3FTU
  • 片手で1FTU
  • 片脚で6FTU
  • 片足で2FTU


以上が適量とされています。

 


数字や大きさで示してもらえると、使う側としても分かりやすいですね。

 


事例:軟膏の使用順序がわからない

 


対策


ひとつの患部に複数の軟膏を使用する場合は、軟膏を混合してお渡しすることが多いですが、混合による安定性の観点からチューブのままお渡しする場合もあります。

 


その場合、どの順番で使用すれば良いのでしょうか。

 


本書では全く同じ部位にステロイドと保湿剤を使用する場合、先に効果の強いステロイドを使用することでより効果が得られると書かれています。

 


また、日本皮膚科学会によると


一般に塗る面積の広い方から先に塗りますステロイド外用剤と保湿剤の併用では塗る面積の広い保湿剤から先に塗り、後からステロイド外用剤を湿疹等の病気の部分だけに塗ります。先にステロイド外用剤を塗ってから保湿剤を塗ると本来塗る必要のない部分にまでステロイド外用剤を広げることになり、副作用が起きる可能性があります』

 


とされています。同じ種類の軟膏でも、塗る面積によっては順番が変わることがあるということです。

 


一方、動物実験ではステロイド→保湿剤でも、保湿剤→ステロイドでも副作用には大きな違いはないとの結果が得られています。

 


長期に使用する場合でなければ、順番はさほど気にする必要はなさそうです。気になるのであれば、処方医や薬局に問い合わせてみましょう。

 


また、複数のステロイド外用剤を別々の場所に使用する場合は、効力の弱いものから先に使用していくのが一般的です。

 

 

吸入薬の正しい使用方法

 


事例:吸入できたかわからない

 


対策


吸入薬は吸い込む段階でかすかに味がするものや粉の感覚が口の中にするものがあります。しかし、注意しなければ分からない程度のものがほとんどです。

 


自分の吸い込む力で薬を吸入するタイプの場合、レバーを引いて何度も薬を出すのではなく、2~3回吸入を繰り返してみましょう。口のつけ方や息の吸い方で一度で上手く吸えていない場合があります。

 


何度も薬を出してしまうと、過量投与につながりますし次の受診までに薬が足らなくなってしまいます。

 


不安な方は練習用のキットを出されている製薬会社さんもありますので、一度薬局で相談してみてください。

 


事例:吸入の練習用キットでは音が鳴ったのに実薬では音が鳴らない

 


対策


吸入の練習用キットでは上手く吸えているかどうか分かりやすくするために音が鳴るタイプのものがあります

 


しかし、これはあくまで練習用のためのものです。実際に吸入する薬は音が鳴るようにはできていませんのでご注意を。

 


他にも実薬の代わりに乳糖など効果のないただの白い粉を吸入するタイプの練習用キットもあります。

 


粉が吸えている感覚はありますが、練習用キットではその粉に治療の効果はありませんのでこちらもご注意してください。

 


事例:子供が母親の吸入剤をいたずら

 


対策


吸入薬のデバイスは一見するとおもちゃのように見えます。子供が興味を持ってしまい、薬を出してしまったり誤って吸入してしまう可能性もあるので薬をしまっておく場所には注意しましょう。

 


間違って子供が薬をなくしたり使ってしまって治療に必要な量が足りなくなってしまったとしても、再度保険適用での交付は難しいと思います。自費になった場合、吸入薬は高価なものが多いです。

 


薬剤師側も小さいお子さんがいる患者さんに薬をお渡しする場合は、お子さんが誤って使用しないようにと伝えておく必要があります

 


事例:吸入後のうがいをせずに口腔内にカビが発生

 


対策


ステロイドが含まれている吸入薬は効果が強い反面、副作用のリスクがあります。その特徴的なものが口の中にカビが発生したり、声が枯れてしまったりするものです

 


ステロイドを吸入後はうがい(口の中をクチュクチュうがい、のどのガラガラうがい)を指導しますが、うがいできない場合は薬が口や喉に残ったままになってしまいます。

 


もしもうがいできない場合は食べ物を食べたり、飲み物を飲んでもらうだけでも薬を洗い流す効果が少しあります

 


話していていつもより声がかすれたりしている患者さんには吸入後のうがいができているか確認しましょう。

 


以上、今回は『ヒヤリハット事例と対策』の第6弾軟膏・吸入薬の使い方についてご紹介させて頂きました。

 


先日、勤務している薬局に来られた患者さんで、病院でもらわれた目薬の使用方法と使用順序について全く知らないと言われる方に遭遇しました。

 


正しい使用方法と使用順序をお伝えすると『なぜ治療効果が出ずに副作用ばかりでるのか分かりました。ありがとうございます』と言って頂くことができました。

 


その指導でお金を頂くことはありませんが、感謝されることほど嬉しいことはありませんね。

 


本日もお読み頂いてわたしの幸せがひとつ増えました。

 


コメントお待ちしております。