不合理な選択を受け入れて生きる
こんにちは。まいまいです。
ブログを見に来てくださってありがとうございます。
本日は『お金と感情と意思決定の白熱教室』という本を読んでの感想です。著者はアメリカのノースカロライナ大学で認知心理学の修士号と博士号、デューク大学で経営学の博士号を取得しMITで教授職の経験もあるダン・アリエリー氏です。
本書はタイトル通り、お金と感情の不合理な関係性について書かれています。その中でも特に面白いと感じた事例を7つご紹介させて頂きます。
1つ目にデフォルトが決定的な役割を果たすことについてです。
皆さん臓器提供カードってみたことありますよね。保険証とか運転免許証にもついているものです。自分の身に何かあったときに臓器提供の意思表示をするものです。
ある調査で臓器提供の意思のある人の割合はドイツで12%でしたが、隣国のオーストリアでは100%でした。何がこんなにも大きな差につながるのでしょうか。
それは臓器提供カードの書き方です。前者は「臓器提供の意思がある人はチェックしてください」となっており、後者は「臓器提供の意思がない人はチェックしてください」となっています。
ほとんどの人が明日には臓器を提供することになるかもしれないとは思ってもいません。臓器提供カードを毎日見る人もいないでしょう。その関心度の低さゆえにデフォルトによって大きく結果が異なっているのです。
チェックをつける/つけないの差ですが、頻度が少なく関心が低いことは放置される傾向にあるいい例ですね。
楽天市場で買い物するとき、店舗からのメール配信を希望することがデフォルトになっています。購入ページの一番下でチェックを外すとメールが来ないようにできるのですが、あのデフォルト設定は本当にやめてほしいです。
2つ目に人がやっている行動を正しいと思い込むことです。
これはすごく単純ですが、行列ができているご飯屋さんって美味しそうだと思ってしまいませんか。店内に席がひとつしかないかもしれないし、料理の提供に30分もかかるお店かもしれない。でも、行列ができているとなぜか気になってしまいます。
他にも広告で〇〇ランキング1位獲得!とか書いてあるともしかして今流行りなのかな、1位だから良い商品なのかなと思ってしまいます。100個中1位なのか3個中1位なのかも知らずにランキング1位ってだけで目に留まりますね。
3つ目に有名なトロッコ問題です。
あたなたが列車の進行方向を変えるレバーのところにいます。もしあなたが何もしなければ列車は5人の人がいる線路へ進み、5人を轢き殺すことになります。もしあなたが手元のレバーを引けば列車は線路を変えて1人の人がいる線路へ進み1人を轢き殺すことになります。
このシチュエーションではレバーを引く人の方が多いのではないでしょうか。わたしもおそらく引きます。
では今度はあなたが橋の上にいたとします。あなたが何もしなければ列車が橋の下の線路の先の5人を轢き殺します。しかし、偶然あなたの横にとても太っていて、大きなリュックを背負っている男性がいます。あなたがこの男性を橋から突き落とせば列車はその人を轢いて止まり、5人は助かります。
このシチュエーションではどうでしょうか。自分の手で突き落とすという直接的な行為があるため、さきほどのシチュエーションではレバーを引くが今回は突き落とさないという人もいるのではないでしょうか。
助かる命は1人と5人で条件は同じなのに感情によって行動が変わる実に不合理な例ですね。
感情によって行動が変わると言えば、以前不動産屋で働く友人に賃貸契約についてのアドバイスを聞いているときに「本当に借りたい物件があるときは晴れの日に内覧しに行く方が決めよう!と思えるよ。雨の日は決まりにくいからね。」と教わりました。
現場じゃなくて、ECでも雨の日は買い物する量って減るんでしょうか。詳しい方教えてください。
4つ目は物の価値と時間です。
チョコレートの例があります。あなたは今すぐ食べるなら半分、1週間待つならその倍の量がもらえるとします。あなたは1週間待ちますか?
今度は1年待てば半分、1年と1週間待つならその倍の量がもらえるとしたらあなたはどうしますか。このシチュエーションでは1年と1週間待つ人の方が多いのではないでしょうか。
わたしたちにとって重要なのは1年先の1週間ではなく、今この瞬間の1週間であるいい例ですね。寿命のある人間の不合理さが伺えます。
5つ目は代替報酬です。これはわたしが薬剤師であることもあってすごく興味がわきました。薬を飲んでもらわないことには薬剤師の意義ってありませんからね。
ある心臓の発作を抑える薬があります。一度発作を起こした人が服用することで発作の確率が21%から3%に減らすことができます。
発作の辛さを知っているにも関わらず、アメリカでは薬を飲む人は発作を起こした人の66%しかいません。ではどうやったら薬を飲んでもらえるか。
1週間続けて飲むと報酬を出すことにすると、例えば3日目に飲み忘れると4日後以降は薬を飲んでも報酬はもらえません。そうすると飲んでも飲まなくてもいい状況になってしまいます。もらえたはずのものが飲んでももらえないのですから気持ち的にはマイナスでしょう。
しかし先に報酬を支払っておくことで飲む人が増えました。毎日薬を飲んだとみなして、先に報酬を支払っておいて、飲み忘れた分だけ報酬を返してもらうのです。人間は一度手に入れたものを失うことをすごく嫌う生き物なので、報酬を手に入れた状態がデフォルトになるわけですね。
この方法はお給料やボーナスにも使えます。先に支払いを済ませておくと、後から払うよりも成果が良くなるそうです。人間の損失回避の心理が色濃く出ていますよね。
6つ目はアンカリング効果です。
在庫処分セールで30%引き!とか本日限り半額!などの文字を広告やPOPで見たことがあると思います。
なぜかお得に感じてしまいますが、その価格で売っても損失が出ない(出てもわずか)値段なわけですから、元々の値段はお店側の利益がほとんどだったってことですね。元の値段に対して何割引きになっているのかに心が動かされるのではなく、割引後の値段が妥当かどうか考えるようにしたいですね。
最後に7つ目は無料の魔力です。
スマホのアプリってだいたい無料のものが多いですよね。有料の方が機能がよくても無料でなんとかなるならわざわざお金を払いたくないと考えるのが普通でしょう。しかし、アプリを開発側からするとどうでしょうか。一生懸命作ったアプリを無料でリリースするのは苦痛でしょう。アプリ内課金の形式を取るのも、まずは無料でも使ってもらって良さを体験してもらわらないことには始まらないからです。
また、以前と比べてネット銀行の普及から手数料無料のATMも増えてきています。休日や深夜などにATMでお金を引き出すと手数料が取られてしまいますが、平日や日中なら無料で引き出せるものにお金を払うのは少額でもためらいますよね。
手数料無料を一社が始めると顧客はそちらへ流れてしまいますし、流れを食い止めるためにも各社が手数料無料にします。自社の首を絞めることになるのはわかっていても、顧客がいないことには収入はうまれないからです。
最近ではレジ袋の有料化も大きな出来事ですね。無料でもらえていたものにお金を払うことは心理的なハードルが高く、敬遠しがちです。1枚3円として、1年間365日払っても1000円ちょっとの支出です。ランチ1回分我慢すればいいだけの値段で、毎日持ち歩く必要がなくなるのですが無料だったものだからこそ払いたくないと思ってしまいますね。
ちなみに、レジ袋の廃プラスチックに占める割合は2%程度なので、手始めにといったところなのでしょうか。廃プラスチックの6割以上を占めているのはお弁当の包装やお菓子の袋などに使われる容器包装だそうです。
以上、7つのお金と感情の不合理な関係性についてご紹介させて頂きました。
合理的だからいいとか不合理だから悪いとかではなく、人間というものは時に不合理な生き物であると知って生きることで自分や周りの行動も仏のような心で受け入れることができると思います。
本日もお読み頂いてわたしの幸せがひとつ増えました。
コメントお待ちしております。